K I R I B A N
A
華奢な後ろ姿を見ながら靴下を脱ぎ捨てる。
風呂場に入り、鼻歌まじりでご機嫌の智の腰に腕を回しグッと引き寄せた。
「ぅわッ…な…何ッ!?」
突然の行為に驚いた智の手からシャワーが外れて…。
「うわ…っぷ!」
「わわわッ!た…拓真!」
浴槽を流すのに出していた大量の水が俺と智の体を濡らした。
アタフタしながらなんとか蛇口を締めた智を見下ろせば、驚いたような…怒ったような顔して俺を見上げて。
「もー…拓真!!」
「お前が電話に出ねぇのが悪い。」
アッ…って顔した智が頬を赤くして拗ねたような目を向ける。
「…なんだよ?」
「だからって…!」
うるさい事言う唇にキスして…ゆっくり離した。
まんまるく見開いた可愛い瞳を見つめ頬に手の平を添える。
「ただいま。」
「…お帰り…拓真。」
やんわりと笑った可愛い恋人の頬を撫で…もう一度、キス。
「…ビショ濡れ…。」
照れたように俯く額にもキスして。
「脱いじゃえよ?」
「…え?」
赤い顔した智を抱き寄せ耳たぶを軽く噛んで。
「いい口実になるだろ?」
「…口実?」
「俺達が…ひとつになる為の…さ?」
緩く笑った智が…そっと瞳を閉じた。
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