K I R I B A N
A
華奢な後ろ姿を見ながら靴下を脱ぎ捨てる。

風呂場に入り、鼻歌まじりでご機嫌の智の腰に腕を回しグッと引き寄せた。

「ぅわッ…な…何ッ!?」

突然の行為に驚いた智の手からシャワーが外れて…。

「うわ…っぷ!」

「わわわッ!た…拓真!」

浴槽を流すのに出していた大量の水が俺と智の体を濡らした。

アタフタしながらなんとか蛇口を締めた智を見下ろせば、驚いたような…怒ったような顔して俺を見上げて。

「もー…拓真!!」

「お前が電話に出ねぇのが悪い。」

アッ…って顔した智が頬を赤くして拗ねたような目を向ける。

「…なんだよ?」

「だからって…!」

うるさい事言う唇にキスして…ゆっくり離した。

まんまるく見開いた可愛い瞳を見つめ頬に手の平を添える。

「ただいま。」

「…お帰り…拓真。」

やんわりと笑った可愛い恋人の頬を撫で…もう一度、キス。

「…ビショ濡れ…。」

照れたように俯く額にもキスして。

「脱いじゃえよ?」

「…え?」

赤い顔した智を抱き寄せ耳たぶを軽く噛んで。

「いい口実になるだろ?」

「…口実?」

「俺達が…ひとつになる為の…さ?」

緩く笑った智が…そっと瞳を閉じた。


[*←前n][次n→#]

3/8ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!