K I R I B A N




あれこれと考えたもののこれと言った決定打は見つからなく…俺も弘樹も示し合わせたわけじゃないのにその足は見慣れた緩い坂道を上がっていた。

ウネウネしてる道なりの左右の林。
緑のトンネルのその隙間から差し込む陽の光がこんなに穏やかだったなんて…気付かなかった。

もしかしてそれは…隣りに弘樹がいるからなのか?
なんて…
サブイボ立つようなクサいセリフも満更外れじゃないような気がする。

繋いだままの弘樹の小さな手に少しだけ力を込めた。

「イタタッ!」
「え!あれ…ゴメン!」

…チョイ強かったか。
握った手から力を少し抜くと今度は逆に弘樹がギュッと握ってくる。

「イデッ!」
「お返し!」

こんなちっちゃい体のどっからこんな力が出るんだか。
こーゆー時に弘樹は立派に柔道家なんだ…って事を嫌でも思い知らされる。

「ねぇ。」

手が軽く引かれ視線を落とす。

「ここって…こんなキレイだったっけ?」

その言葉に思わず目が丸くなる。
それをどうとったのか…弘樹は拗ねたように唇を尖らせた。


…可愛い。


「俺も同じ事考えてたよ。」

繋いでる手にもう一度力を込める。
今度は少しセーブして…その代わりに俺の愛をたくさん込めて。

すると…その想いが通じたのか弘樹は頬を赤くして俯き唇を"ヘの字"にした。

「俺が思った結果は『弘樹が一緒だからキラキラして見えてる』だよ。答えは一緒?」

俺の声と同時に赤く染まる頬。
それが嬉しくて…俺はまた可愛い弘樹をキツく抱き締めた。





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