K I R I B A N
1
キンコーン…
授業終わりのチャイムが鳴りみんなが一斉に席を立つ。
机の横にかけられたバッグを手にしたヤツラが楽しそうに話しながら俺の後ろを通り教室のドアから廊下へと流れ出してく。
それを目で追いながら俺は手にした携帯で時間をチェックした。
いつの間にか身に着いたこの習慣。
いつもなら…こんなことする間もなく一番に教室を飛び出すのに。
「なんだメイド。今日は業務ボイコットか?」
ニヤ付く俺のすぐ側で聞こえる笑いを含んだ声。
その方に顔を上げれば…親友と言う名の、黙ってりゃそこそこモテる毒舌男の姿。
「メイドじゃねぇし。」
「お前にあのフリフリは似合わんもんな。」
腕組みしながらウンウンと頷くヤツに苦笑い。
メイド服の似合う高校男子なんてそうはいないだろうが…と思いながらヤツの隣りの彼チャンを見てますますデカい苦笑いをした。
「…にしても珍しいな。今日は帰らなくてもいいのか?」
俺の机に座り自分の携帯を取り出したヤツが物珍しそうに言って。
「今日はゆっくり帰ってくりゃいいって言われたからな。」
デカいあくびをしながら伸びをして俺はそう答えた。
…すると。
「ゆう。」
背後のドアから可愛らしい…けど気の強そうな声が聞こえて。
「待った?」
俺の…大事な大事な可愛い恋人が姿を現した。
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