K I R I B A N

‐良介SIDE










自分で自分の目を疑う。

水分を要求する恋人に…ペットボトルを手渡そうとした途端にこの反応。
これは…。

「口…移しでか?」

「そっ!」

いまだ固まる俺を見上げて悪戯っぽく笑う。
いつもより少し大人びたその笑い方に柄にもなく胸が大きく震える。

「…芹。」

フタを開けたペットボトルをあおり中の飲料を口に含む。

「りょー…早くちょうだい。」

少し甘えたような声にそちらを向けば…頬を赤く染め潤んだ瞳で俺を見つめる芹の姿。
その細い両腕がスッとこちらに伸ばされて…同時に俺の中で何かが外れた。

「…りょー…」

横たわる芹の両脇に腕を下ろして屈み唇を重ねる。
閉じている俺のに触れた柔らかな唇が誘うようにゆっくりと開かれ…その中へと少しずつ飲料を流し込んだ。

「…ん…ぅ…」

やはり飲みにくいのかいやに色っぽい声を洩らしながら芹がそれを飲み干す。
その度震える喉も上下する胸も…全てが…なまめかしい。

「…芹…」

離した唇で名を呼べば嬉しそうに俺を見上げて。

「ね…もっと、ちゃんとシて?」

軽い音を立てて唇を重ね…ねだる時の色っぽい顔付きで笑った。

俺は…
発熱中だと知っているのに芹が欲しくて堪らなくて。
重ねられた唇に噛み付くような荒いキスをした。





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あきゅろす。
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