K I R I B A N




熱くて熱くて…ノドが乾いて目を覚ますと…ホンのすぐ目の前に俺の大事な人の顔があって。

「うわっ!」

…なのに先に驚かれちゃった。

「す、すまない!どうだ具合は。」

なぜか大葉は赤い顔してめちゃくちゃ慌ててるみたいで…何となくその意味が分かっちゃった俺は掛け布団を鼻くらいまで引き上げて大葉を見つめて小さく笑った。

「可愛、おおば。」

「…えっ?」

クスクスと笑う俺を見下ろし困った顔を向ける。

多分大葉は…寝てる俺にチューしようとしてたんだと思う。
で、こんな風に俺が目を覚ましちゃったもんだから…リアクションが普通に怪しい。

こーゆー、嘘のつけないトコとかホントに好き。
誠実とかそゆ事より俺はこの人がホントに好きなんだなぁ…って思ったら、そう思える自分がとっても嬉しかった。

「いつまで笑ってる。ほら水分を摂らないと…」
「飲ませて?」

そう言った俺をジッと見て大葉の動きが止まる。

「俺、病人なんだもんそのくらいしてくれてもいいでしょ?」

"ねっ?"…って首を傾げる俺を見つめて大葉が唇をへの字にした。

たまに見せる困った顔も好き。

すると顔を益々赤くして決心したみたいに持ってるペットボトルのフタを開けて俺の方に向けてくる…から。

「違うよ大葉。」

「…え??」

俺は黙ったまま少し尖らせた唇に人差し指をそっと当てた。





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あきゅろす。
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