K I R I B A N
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「ふーん…じゃあ大葉は剣にいに呼ばれて行ったきり帰って来ないんだ?」
手の中のホットココアの缶をフルフルと振りながら春日部が言って。
「そーなの!もう三十分だよ??遅いー!つまんないー!」
俺はぐだぐだと文句言いながらテーブルにアゴを乗っけて大きく溜め息を吐いた。
「つか…芹、髪がずいぶんと伸びたね?」
なんて、伸ばされた春日部の指が俺の前髪を軽くいじり始める。
「え…そう?」
「うん。だってホラ…もう眉の下まできてるじゃん?」
そう言えば…先月はカットしに行きそびれてたっけ。
「あ、じゃー芹!ちょっと暇つぶししよっか?」
イタズラっ子みたいに笑う春日部にどことなく、何となく腰が引ける俺。
それに気付いた春日部は笑顔で俺の腕を掴んで。
「大丈夫だって!痛い事とかヤラシい事なんかはしないから!」
「なに、その選択肢!」
わたわたしてる俺を後ろからハガイジメして耳元でクスクスと笑う俺の親友の悪魔。
「ゆう!キッチンに多分あるから…」
「…はいはい。」
苦笑いをしながらその悪魔の手下がキッチンに消えて…戻ってきた手には茶色い細い輪っかが数本握られていた。
「ちょ…待って待って!俺そーゆーの初めてだから…!」
「スマン…許せよ、芹公。」
スマンとか言いながらニヤニヤしてる顔がムカツク!!
焦る俺の目の前に…段々と柊の大きな手が近付いてきて。
そして…!
キュッ。
俺の前髪が束ねられて…その根元に輪ゴムがはめられてしまった。
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