K I R I B A N





校内に鳴り響くチャイムと同時にガン見していた会議室の中がガタガタとしだす。
それを合図のように俺と秦修司はお互いの恋人の元へといそいそと出向いて行った。

長い長い渡り廊下を歩ききって角を曲がると目の前には俺の大親友の春日部と、七瀬がいて。

「お疲れっ!春日部ー!七瀬もお疲れ!」

「おーっ!芹っ!」

「芹もお疲れ!」

嬉しくてつい、いつもみたくワイキャイしちゃった。
その横を秦修司のヤツが知らん顔して追い抜いて行く。

「なんだよ!秦修司…」

プーッと頬を膨らまして後を追いかける…と?

「待って、委員長!」

そう言って…大葉の腕に自分の腕を絡めた千田くんがいた。


…………ぷつん。


頭の中でなにか音がした瞬間俺は走り出してた。

「…芹?」

すぐ側で声が聞こえた時すでに俺は、千田くんの手を遮って大葉をギューッと抱き締めてて…

「触んないで!」

…なんて大声出してた。

「せ…芹?」
「大葉は…良介は俺のなのっ!だから触んないでっ!」

一気に吐き出し肩で息するその後ろでクスクスと笑い声がして…ちょっとだけ冷静になった。
前を見れば…千田くんがプッと吹き出してたりして…?

訳も分からずキョトンとする俺の頭上で大葉が咳払いをした。

「ん…なになに??」

見上げた大葉は真っ赤な顔してて…見慣れたこのリアクションに覚えがあった。

………まさか?

…って恐る恐る回りを見てみたら。

「可愛いですね、委員長の恋人さん。」
「ホントホント。」
「『触んないで』…なんて相当愛されてるんですねぇ?」

…会議室の中には…まだ結構な数の人が残っていた。

「あっ、あのっ、こ…これは…」
「やっぱり芹沢くんは可愛いですよね?」

目の前の千田くんが爽やかな笑顔を浮かべて俺に右手を差し出してきた。

「僕、キミにお友達になって欲しくて委員長にそうお願いしていたんです。」

更にニコニコとする彼を見つめて俺の頭はパニック状態に陥った。

「えっ?へっ?…だって千田くんは…大葉が好きなんでしょ?」

「「…はっ?」」

大葉と千田くんの声がダブった。
その二人の反応に…俺の方がもっと驚いて。

「は???」

声を上げて…何度も瞬きを繰り返した。





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