K I R I B A N





「…って言うんだよっ!どう思うっ!?」

あのなんとも後味の悪い会議室前での出来事を、目の前の秦修司に切々と訴える…けど。

「どう思うもなにも…まんまじゃねぇの?」

当の本人は相変わらず廊下の窓枠に両ヒジをついたまま向かいの棟の会議室の窓を見てる。

「まんまって…」
「デートのお誘いじゃねぇのか?」
「はっ!?」

ククッ…て笑う横顔を見ながら唇を尖らせてその脇腹にグーパンチをひとつ入れた。

「大葉がそんなの受けるわけないだろっ!」

「あんなぁ…あの千田ってヤツはウチの学年で一、二を争う程の可愛こチャンなんだぜ?」

…って言ってまたニヤニヤ。
なんか…秦修司がとても楽しそうに見えるのは俺だけ??

「そんなのに誘われて断れるホモなんているのかよ?」
「大葉はホモじゃないよっ!!」

全く!
何度言っても分かんないんだから…やんなっちゃう!

「大葉は俺が好きなだけで男が好きなわけじゃないの!」

胸を張って堂々と言ってやる…と?

「ぷ…はは!」

いきなり笑われた。

「なんで笑うんだよ!今のは笑うトコなの??」

そう聞いた俺の顔を見てまた一段と笑い出す秦修司がなんかムカツク。

「秦修司…俺をからかって面白がってる?」

「それなりに。」

ニイッと笑う見慣れた顔を見返して…俺も笑っちゃった。

秦修司の言ってた事は少しだけ気になったけど…大葉が好きなのは俺だけだって信じてるから大丈夫。

一度笑って…会議室の中にいる愛しい大葉をジッと見つめた。





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