K I R I B A N
6
‐良介SIDE
キレイに装飾を施された箱が手渡され…俺宛ではないのに心が踊る。
仲間内でもセンスの良い春日部が後押しをしてくれ…久遠が世話を焼いてくれて。
二人を大好きな俺の恋人が聞いたら間違いなく満面の笑みを浮かべるだろうこのシチュエーション。
そう思うとニヤつく顔が抑えられなかった。
「なんだよ大葉?ニヤニヤしちゃって!」
からかうような口調の春日部にそうつっこまれて思わず苦笑いが出る。
「いや…芹は喜んでくれるかなと思ってな。」
ジーマニを出てすぐ拓真のお迎え待ちの久遠と分かれ…今は春日部と二人寮へと向かう坂道を上っている所だ。
「そりゃ喜ぶよ。大好きな僕が一緒に選んで久遠がラッピングしてさ…」
俺と同じ事を考えている春日部に頬が緩む。
「なにより、大好きな大葉からのサプライズだもん芹が喜ばないハズはないって!」
そう言って笑う春日部を見ながら…頬が熱くなるのを感じた。
「そう…かな?」
「そうだよ。」
芹の笑顔を思い浮かべて胸が温かくなり、こんな気持ちになれる自分が…幸せに思えた。
「芹の喜ぶ顔、早く見たいね!」
ニコニコと笑う春日部を見ながら頷く。
…そして。
「春日部。付き合ってくれてありがとうな?」
頭を下げた俺に少し笑って。
「なんのなんの!このお礼はちゃんとしてもらうからいいよ?」
そう答える春日部が頼もしく見えた。
いつも側にいるから気付きづらいのだが俺の仲間達は本当に頼りになる。
迷った時や切ない時にはいつもさり気なく寄り添っていてくれるんだ。
初めて出来た心を許せる仲間達。
みんなにとっても俺がそうであるよう願いつつ…愛しい恋人の待つ寮に向かってまた一歩、と歩きだした。
‐END‐
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