K I R I B A N

‐良介SIDE










【ジーマニ】に到着した時には既に久遠の上がりの時間で。
売り場にいた千秋さんに声をかけると快く久遠を呼びに行ってくれた。

「なに…大葉は奏多さんと仲悪いの?」

「え?…なんで。」

俺と千秋さんとの会話を聞いて春日部が小首を傾げた。

「なんて言うか…距離が…。」

「そうか?」

確かに昔からの顔見知りではあるがこれと言って仲が良い訳ではない。
ついでに言えば…あの人は拓真の友達だ。

「俺からすれば春日部が千秋さんと仲が良くてびっくりだよ。」

「ん?ああ、僕はここの常連だからね!」

そう言って売り場に並べてあるシャツをたたむ。

…なるほど。
そういう繋がりか。

腕を組んで納得していると奥の部屋のドアが開いて私服姿の久遠が現れた。

手を振りゆっくりと近付くと…。

「おっ!このジーンズ可愛いねっ!」

…と。
春日部が久遠の尻を触った。

「そう?今度入るやつだよ?」

…というか…。

「いくらなんでも触り過ぎだろ…。」

久遠の尻を掌で撫でる春日部の動きになぜか俺が照れてしまう。

「…そう?てか考え過ぎじゃないの大葉。」

「春日部はいつもこんな感じだよ?」

普通の顔をして返す二人に目が点になる。
そんな俺を見る春日部が…ニヤッと笑って。

「やーらしいなぁ!」

「なっ!?」

「大葉ったらエッチな事想像してたんでしょ!」

「なに…っ…」

両手をかざして春日部に弁解しつつ久遠を見て。

「ちっ、違う!誤解だ!俺は別にそんなじゃ…」

「…お前…俺をそんな目で見てたのか…?親友だと思ってたのに…。」

泣きそうな顔をする久遠に触る訳にもいかずオロオロしている…と。

「あははっ!嘘だよ嘘!僕は久遠の尻フェチなだけだってば!」

春日部が笑いだして。

「はは…お前がそんな風に思う訳ないだろ?」

…と久遠まで。

二人は顔を見合わせて俺を見て…。

「プハハッ!」
「アハハッ!」

同時に笑いだした。

…もしかして…俺はからかわれたのだろうか?
楽しげに笑う二人を見ながら俺もつられて笑ってしまった。





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