K I R I B A N

‐智SIDE










「あとは僕がやっとくから智ちゃん、あがっていいよ?」

レジ上げをして違算チェックをしてる俺の後ろから奏多さんが声をかけてくれる。

「あ…ハイ…。」

そう応えながらも未だに慣れないお札の勘定と硬貨のチェックをする。

これを終わらせない事には…気になって夜も眠れないから。
…と。

「とーもチャン?」
「ひぁ…っ??」

背後からフウッと耳元に息がかけられ驚いてつい変な声が出てしまった。

「エッロい声出しちゃってぇー!もう可愛いんだからコイツめー!!」

首元に腕が回されなぜか頭を"グー"でグリグリされる。

「ちょっ…痛っ!痛いですって奏多さんっ!」

暴れる俺をいじり倒すのがどうやら奏多さんの日課らしく、散々グリグリして満足したのか俺の乱れた髪を直してくれながら。

「そんな神経質になんなくてもいーよ!もし違ってても拓真の財布から抜くから平気だって!」

そう言ってギャハハと笑う奏多さんが悪魔に見えるのは…俺だけなんだろうか。
苦笑いをする頬をキュッと摘み奏多さんがニッコリと笑って。

「売り場で春日部くんと良介くんが待ってるよ?後は僕に任せなさいって。」

そう言って俺の手からお札を抜くとトン、と背中を押してくれた。

「春日部と…良介が?」

「うん。智ちゃんいますかーって。お迎えじゃないの?」

ずいぶん珍しいコンビだな…って思いながらも今日は確かクラス委員の会議とか言ってた事を思い出して。

「お言葉に甘えてスミマセン…それじゃお先に失礼します。」

「はいよー。」

ヒラヒラと手を振る奏多さんにペコリと頭を下げ【ジーマニ】の奥部屋のドアを開けて売り場に出た。
…すると。

「久遠!お疲れっ!」
「邪魔したか?」

奏多さんの言う通り春日部と良介が並んで手を振っていた。





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あきゅろす。
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