K I R I B A N





本日の授業が終わりいつもの如く可愛い恋人の手を引いて購買部へと向かう。

「今日は久遠はいるのかな?」

廊下に響く他の生徒達のザワメキに混じり弾むような楓の声が聞こえて。

「ああ…確か今日はバイトの日じゃねぇからいるだろ?」

前々から聞いていたヤツのシフトを脳裏に描きそう告げると、楓がニコニコな笑顔を浮かべる。

「なんでだよ。」

「へっ??」

キョトンとする顔を見てるとついついイジメたくなる。
これは如何ともし難い俺達の法則。

「この俺ってモンが居ながら久遠に会いたいだなんてとんだ浮気者だなぁ…楓チャン?」

…とニヤニヤ笑いを向ければ楓は顔を真っ赤にして。

「ちっ…違うよ!」

「俺の純情な想いを弄んだんだな?」

「もう…佐古ったら!」

慌てて弁解をする楓を見ながら頬が緩む。
可哀相だから…そろそろ許してやるか?

「…冗談だ…」


ガラッ!


「西野っ!」

目の前のガラス戸が勢い良く開き中からその噂の久遠が現れた。

「あっ!久遠!」

「待ってたよ西野!さっ早く入って?」

ヤツにしては珍しく楓の手を握って中へと引き込み…そしてまたヤツにしては珍しく、俺の方をチラとも見なくて。
俺は…なんだか微妙な気持ちで二人の後を追い購買部へと足を進めた。





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