K I R I B A N
‐I wish,You wish.
‐柊SIDE










ゆっくりと唇を離せば…月の薄明かりの中でも分かる程に顔を真っ赤にした弘樹の表情があって。
あまりにも可愛いからもう一度キスして…。

「好きだよ…ひ…」
「あー!流れ星っ!!」

愛しい恋人への甘い囁きの途中で入った芹公の大声に舌打ちをしつつ……ん?
…流れ星っ!?

芹公の指差した方へと抱き締めてる弘樹ごと向いてキツく目を閉じ…ただひとつの願い事を三度反復する。

…まぶたを開くとそこにはもう流れ星の姿はなかった。
果たして…俺の願いは受け入れてもらえたんだろうか?
なんてネガティブな事を思い苦笑いをした。

「何をお願いしたの?」

見下ろした弘樹がイタズラっぽく笑い…俺は鼻の下を伸ばしながらその可愛い唇にひとつキスをして。

「弘樹と…みんなといつまでもこうしていられますように…って。」

言い終わると同時に首をグッと引かれて弘樹の顔すれすれまで近付き…。

「そのお願いは…絶対に叶うよ。」

「…え?」

柔らかな唇が重なった。

「…ひろ?」

ガラにもなく照れる俺を見つめ弘樹が楽しそうに笑って。

「一人の願いより二人分の方が叶う確率は上がるでしょ?」

そう言って笑った弘樹が愛しくて…力一杯抱き締めた。

「いたたっ!痛いってコラ!」

もがく細い身体を更にギュッと抱き締めて。

「ひろ…俺、ひろのそーゆートコ大好きだよ。」

素っ気ないくせにそうやって可愛いコトを言っては俺のツボをグイグイと押してくる。
一分一秒ごとにどんどん好きになって…
気が付けば俺は骨の髄まで弘樹に夢中なんだ。

「どうしよ…俺ホントに弘樹が好きだよ。」

腕の中の愛しい恋人がクスッと笑って。

「僕もだよ。」

そうしてまた…ゆっくりと唇を重ねた。
満天に煌めく星達より…今の俺には腕の中の弘樹の方が輝いて見える。

流れ星にかけた願いがいつまでも続くように…何よりもまたこうして俺の大事な人達とたくさんの思い出が作れますように。

最大にして最高に贅沢な願いを胸に愛しい恋人を強く抱き締め…もう一度キスをした。










‐END‐


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あきゅろす。
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