K I R I B A N
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‐智SIDE
普段ベッドで生活している俺達にとって『布団を敷く』という作業はなかなかの重労働で。
しかもその途中、予想通りに芹がはしゃぎ柊と佐古が暴れたりとなかなか進まず人数分の布団の用意をし終えた頃にはみんなグッタリとしていた。
「たかが八組の布団を敷くのに…どんだけ時間かかってんだよ。」
布団二組をまたぎ大の字に横になって柊が唸る。
「…どっかの筋肉バカが余計な茶茶入れてくんからだろうが。」
「んだとコラ!」
未だテンション高めの二人はすぐにいつものドタバタモードに突入してしまう。
「いい加減にしろっつーの!」
仲裁に入る春日部と良介も疲れ果てた顔をしてて…俺はなんとなく、手元にあった枕を柊の頭に向かって投げてみたりした。
ボスッ。
勢いのない枕はシケた音を立てて柊に当たり布団に落ちた。
キッと振り返った柊は投げた本人が俺だと分かると…ただただ驚いているようで。
「これ…ヒメ?」
足元の枕を指差す柊に黙って頷いて返す。
…と。
ボスッ!
バフッ!
柊の頭に…枕が二個命中した。
「誰だっ!?」
「いつまでもグダグタやってんなよ!」
「Oh!枕投げだっ!」
怒る柊に枕をぶつけた春日部と芹が笑いながら手近な枕を拾いぶつけはじめる。
「いってーな!なんだよ弘樹まで!このーっ!」
そして…あっと言う間に『枕投げ大会』が始まった。
せっかく敷いた布団はグチャグチャ。
飛び交う枕の他には布団やカバンなどと反則めいた物さえある。
さっきまで疲れたと言ってグッタリしていたみんなは、まるで水を得た魚のように生き生きとした目をしていて。
俺も何年か振りのこのイベントを楽しんでいた。
―そして。
ガラッ!
入口の襖が開く音がして…
バフッ!
「…あ。」
誰かの投げた布団が…戻ってきた拓真を頭からすっぽりと覆っていた。
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