K I R I B A N
12
‐弘樹SIDE










相変わらずの芹の天才的な天然具合にお腹が痛くなり…笑い涙を拭った僕は少しぬるめの湯船に浸かった。

「はあ…笑い疲れた。」

誰にともなく呟き鼻先まで沈み込んでふと視線を上げる…と。

「…んっとにおもしれーよな、アイツら!」

お風呂の縁に腰かけてる祐一郎と目が合った。

「…なんでそこ?入ればいいじゃん。」

「笑い過ぎて熱いんだよ。」

二カッと笑ってタオルで仰いでる姿を見ながら苦笑い。

「もっと涼しいトコに行けばいいのに。」

心にもない事を言う僕の目の前にゆうの端正な顔が近付いてきて…。

「弘樹のそばにいたいから、さ?」

そして…唇が重なった。

「人前でキスして…怒んないの?」

「…怒って欲しいの?」

見つめ合ってクスッと笑い合って…みんなに見えないよう隠れてまたキスをした。

「そう言えば…。」

隣りの熱い方の湯船に浸かってる佐古が僕らの方に向いて。

「俺サマ達…ここでなんかするつもりだったのか?」

そう言って首を傾げる。

「…セックスだろ?」

「バァカ!ちげーよ!観光とかそういう事を言ってんだよ!」

ニヤニヤ顔の祐一郎に珍しく頬を赤くした佐古がそう言い放った。

「二人は星を見にきたんだよ。」

正面の窓の外に指を向けるとゆうと佐古がそっちに顔を向けて。

「…ほし?」

「まさか。俺サマがそんなロマンチストな訳ねぇだろ?」

二人揃って眉を寄せた。

「お前らが知らないだけだよ。僕の知る限りあの二人は激甘です。」

「いやぁ…弘樹、だってさぁ…?」

未だ納得のいかない様子のカレシを呆れて見ながら。

「ゆうだって僕の前だとデレデレでしょ?」

「下はビンビンだけどね?」

ニヤニヤと下ネタを発する下品な祐一郎の両腕を掴み思い切り引っ張る。


バッシャン!


大きな水飛沫と共にヤツは湯船に落ちた。

「だからお邪魔していいのかな?ってずっと思ってたんだけどね。」

僕の話を聞き、腕組みした佐古が小さく唸る。

「なるほどね…でもアノ人の場合、本当に嫌なら連れてこねぇだろうしな?」

「ゲホッ…同感!」

湯船から上げたびしょ濡れなゆうの顔を見ながら…また笑ってしまった。





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