K I R I B A N
11
‐楓SIDE










お腹一杯ご飯を食べて…なのにゆっくりする間もなく座敷を追い出された。

「はー!食った食った!腹も一杯だし、風呂でも入るか!」

…と言う柊の一言で僕らは揃って同じ階にある大浴場にいく事になった。

すごく広い脱衣所なのに僕らは固まって支度をして…腰にタオルを巻いただけの姿でいざ、中へ!

「おぉっ!!」

一番前の柊が嬉しそうな声を上げた。
中は広くてキレイで…真っ正面が総ガラス張りだから街の明かりなんかがキラキラしてスッゴく美しい!

「わあぁ!」

嬉しそうにはしゃぐ芹と一緒にそっちに走り二人並んで外の夜景を見る。

「湯船に浸かってからゆっくり見ればいいだろ…楓。」

そんなロマンが分からないのか佐古がシャワーを浴びてる手を止めて僕に手招きをした。

「えー…。」
「ぶーっ!」

同じように大葉に呼ばれた芹と一緒に渋々戻って洗い場の椅子にどっかりと腰を降ろす。
チラと隣りを見れば僕と同じく座った芹とタオルを泡立ててる大葉が向き合って座って。

「洗ったら湯船に浸かってゆっくり見ればいいだろう?」

「えーっ!だって…!」

「『だって』じゃない。ハイ、バンザイ。」

「ぶー!」

…なんて。
二人のやり取りがあまりにも可愛くてつい吹き出しちゃった。

そんな僕を顔を赤くした芹が拗ねたように軽く睨んで。

「なんだよぉ!」

…と頬を膨らませた。

「だって二人とも可愛いんだもん!」

笑ったままの僕に大葉もコッチを見て。

「二人?」

キョトンとした顔付きになった。

「やめとけって西野!何気に弟も天然入ってっから。」

「真面目故の頭の堅さも半分だがな。」

柊と佐古がニヤニヤしながらそう言って笑う。

「しっつれーだなっ!大葉は天然じゃないよ!天然は俺だけー!」

「…芹。全くなんのフォローにもなってないから。」

苦笑いをした春日部のつっこみにみんなゲラゲラ笑って…。
その楽しさに僕もお腹が痛くなる程笑った。





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あきゅろす。
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