K I R I B A N

‐柊SIDE










戻ってきた女将さんに案内されて俺達は三階の一番奥の部屋に通された。

開かれたドアから中を見て…ビックリ。

「…宴会場?」

隣りで弘樹も苦笑いをする。
確かに俺らは健康優良児八人組ですが、俺らに用意されたこの部屋は…どうやら襖を外した何部屋か分らしいどデカいもので。

「無理言ってスミマセンでした。」

呆然とする俺らの後ろでボスが女将さんに頭を下げた。

「アラいいのよ。このくらい大した事ないわ。」

…おや?
さっきまでのお上品な女将さんはどこへ?
同じ事を思ったのか弘樹と佐古も振り返ってそっちを見て…その女将さんとガッツリ目が合っちまった。

「和美…ウチの母親と一緒に昔ヤンチャしてた人なんだ。」

苦笑いしながら部屋に上がる弟をチラ見しながら女将さんが俺達の方を向いて。

「そーゆー事。だから多少の融通は利かしてやるわよ。」

「…由妃さん…お言葉遣いがおかしい事になってますよ。」

恐らく『素の自分』が出ている女将さん…由妃さんに珍しく弟がつっこむ。

「相変わらず頭堅いわねぇ良。そんなんだからモテないのよ!」


…アレ?
もしかして…俺らの事、話してなかったりすんのか?

…って事は!

「モテなくないよ!」

ヤベェ!
そのテの挑発にサックリ乗っちまうヤツが一人いた!
俺達は振り返って部屋の真ん中で仁王立ちして口を尖らせてる芹公にタックルを…!

「だって大葉と俺、付き合ってんだもンンーーッ!?」


ドッスン!


俺と佐古のタックルと弘樹の両掌での口封じは間に合わず…大葉兄弟の知り合いの前で、弟は強制的にカミングアウトさせられてしまった。





[*←前n][次n→#]

12/22ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!