K I R I B A N

‐智SIDE










ラヴラヴな良介達を一番後ろの席に送ってすぐに柊と春日部がきて…時間ギリギリの所で佐古達も現れた。

「…お前らにしちゃ上出来だぜ。」

全員集合したのは予定よりも五分早い。
さすが我がチームだね…なんて満足気でいると。

「ゲーッ!なんで弘樹と席離れんの!?」

「しょうがないだろう?三人掛なんだから。」

「わーい!春日部の隣りだあ!」

「ゆう!わがまま言ってんな!」

…座席を巡っての小さな争いが起こっていた。

この車は運転席と助手席の後ろに三人掛けのシートが二列ある。
カップルずつで座るとどうしても一組だけ前後に分かれる事になる訳で…その一組に柊達が当たってしまったらしい。

「うっせーな!しゃあねぇだろーが!」

「佐古、落ち着いて!」

挙句、佐古までもが参戦して…と。

「ウゼー。イヤなら降りろ。」

イライラしたような拓真の声に車内がシーンと静まりかえる。
カチカチと響くウィンカーの音が鳴り止むのと同時に車がゆっくりと走り出した。

拓真に怒られて黙り込んでしまった後部をチラ見して…用意してきたコンビニ袋を二つ、すぐ後ろの佐古に手渡す。

「ん…なに?」

「おにぎりとお茶。良かったら食べて?」

「え!うそ!いいの?」

目をキラキラさせた西野に佐古が袋を一つ手渡しもう一つを後ろの良介達に渡した。

「ホレ。いつまでもヘコんでねぇでありがたくいただけよ。」

車内で一番しょげている柊に隣りに座る佐古がおにぎりを一つ手渡してやる…と後ろに座ってる芹が。

「柊!ポッキーあるよ!食べる??」

「芹…順番的におにぎりが先だろ?」

「えー!そっかなぁ?」

いつものように良介とそんな会話をし始めて…自然とみんなが和みだす。

前だけ見てるはずの拓真の頬も少しだけ緩んでいて…車が高速に乗る頃には、いつものみんなに戻っていた。





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あきゅろす。
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