K I R I B A N

‐芹SIDE










お兄さまとくどーのラヴラヴデートにお邪魔する許可が出たから、大急ぎで支度をして渋い顔してる大葉の手を引いて駅までの坂道を駆け下りた。

「…あれ?」

駅前のターミナルに着いて二人並んでグルッと見渡しても…見慣れたお兄さまの車はどこにもない。

「おっかしいね…俺達の方が早かったとか?」

隣りの大葉を見上げると首を傾げてアチコチ見回して…。

「…あれか。」

ターミナルの端っこに停めてあるシルバーの車を指差した。

「え?だってあれ…?」

「良く見て?」

大葉の声と同時にそのシルバーのデッカい車がピカピカっとパッシングしてきた。

「借りたってさっき言ってたろ?」

キョトンとしてる俺の手を引いて歩き出した背中を見つめて…胸がドキドキする。
こういう時の大葉はスゴく頼りになるし一緒にいてくれるだけで心強い。
俺は…繋いだ手に力を込めた。

デッカい車の側までくると運転席に座ってるお兄さまも助手席に座ってるくどーの顔もちゃんと分かるようになって。
嬉しくてつい手とか振ってみちゃったりして。

そんな俺をチラと見て大葉がクスッと笑った。

「なんで笑うの!」

「ん、いや…可愛いなって思って。」

ほんのり赤くなった大葉の耳を確認しながら俺も顔が熱くなる。
可愛いだなんて…言われたって嬉しくないのに大葉に言われるとどんな言葉だって嬉しい。
これって…末期症状ってやつでしょうか?

繋いでる掌から大葉の熱が流れ込んでくるみたいで身体がジューッと熱くなる。

「芹?顔真っ赤だよ?」

ハッとして上げた目の前にはいつの間にか車を下りてたくどーがいて…。

「わっ!そっ、そぉ?」

アタフタしてる俺とちょっぴり赤い顔してる大葉を見ながら。

「まだみんな来てないから一番後ろに座ってイチャイチャしな?」

そう言って…やんわりと笑った。





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あきゅろす。
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