K I R I B A N

‐弘樹SIDE










「よぉし!こんなモンだろっ!」

小さなカバンにゆうのと僕の荷物を詰め込んでホッと一息。
嬉しそうに笑ってる恋人をベッドに座ったまま見上げて…安堵の息を吐いた。


さっきまで購買の奥部屋でまったりと久遠特製の美味しいココアを飲んでいたのに…話の流れで僕らみんなはニイサン達の甘いデートに便乗させてもらえる事になった。
しかしそこからが大変!

『今が三時だから…四時半に駅前に集合な。遅れたヤツは連れて行かねぇから。』

そんなニイサンの非情な言葉に僕らは慌てて寮に駆け戻ると、必死に小旅行用手荷物をセッティングした。

そして…今に至る、と言う訳。


「思ったより時間余ったな?」

腕時計をチラと見ながらゆうがそう言い僕も壁時計に目をやる。

「そだね…三十分くらいゆっくりできそう?」


ギシ…


と座ってるベッドが軋み首筋に息があたる。
その気配に顔を戻せば…目の前にはキレイに整った僕の祐一郎の顔があって…。

「ゆぅ…っ…」

ゆっくりと柔らかな唇が重なってきた。

ゆるり、と絡められた舌に応えながらヤツの首に両腕を回す。
僕の身体を抱き締めてるゆうの腕に少しだけ力がこもって…重なったままベッドに横たえられた。

「まだちょっと時間あるから…シよ、弘樹?」

甘えたようなヤツの声に頬が熱くなる。
それをごまかすかのようにソッポを向いて聞こえるかどうかって程の小さな声で。

「たった三十分で…何ができるの。」

そう、呟いた。

「出来るコトあるよ?」

呟きが通じたらしくゆうがやんわりと笑って僕を見つめて。

「愛の確認。」

「…なんだそれ?」

意外な答えに思わず笑ってしまう。
そんな僕を見下ろし唇にキスを落として…。

「ひろ…愛してるよ。」

そう言って…優しく笑った。





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