K I R I B A N
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それから…更に十五分が過ぎ自力で『サニーレタス』を探し当てたヤツラが、出来上がってるポテトサラダの盛り付けに入った。
どうやら担当は俺の弟君(おとうとぎみ)の彼公らしく、さっきから嬉しそうにボウルからすくったサラダを皿の上に…落としている。
芹に盛り付けのセンスがないような気がするのは俺だけだろうか?
普段のアバウトさから考えたら…繊細っつー言葉から一番遠い場所にいるような…。
座ってる椅子の背もたれに身を預け、足を組み…腕を組み替えて芹をガン見。
意気込みは認めるが…それだけじゃ美味いもんは食えねぇからな。
…すると案の定。
「あれ?芹、サニーレタス敷かないの?」
「ん?あーっ!忘れてたっ!」
西野のツッコミに芹は慌ててサニーレタスをちぎりだした。
…オイオイ。
その為に長時間かけて探したんじゃねぇのかよ?
「あ…芹っ!タマゴは混ぜちゃダメじゃん!」
「えっ?なんで??」
「それはトッピングだよ…あ、トマトも…。」
…さすがは芹。
智の手料理を俺の次くらいに多く見てるハズなのにこれだ。
半ば脱力気味でヤツを見ていると…少ししょげたように眉を寄せ頬を赤くした芹が。
「お兄さま、ごめんなさい!」
そう言ってペコリと頭を下げた。
これが…俺の知る限りの芹の一番良い所。
悪い事をしたら反省してすぐに謝る。
勿論、上辺だけじゃなく気持ちを込めて出来るという所がなかなか潔い。
素直な芹ならではの最大の長所だ。
「気にすんな。次はすんなよ?」
「はいっ!気を付けます!!」
そう言った俺に今度は満面の笑みを向ける。
そのコロコロと変わる表情が…芹がみんなに愛される理由なんだろう。
まるで子供のように屈託ない芹もまた…俺の可愛い身内の一人だ。
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