K I R I B A N





キッチンを見渡せるカウンターに座ってから…早三十分が過ぎた。

「だっからー!これだってば!」
「絶対違うっての!」
「え…これじゃないの??」

チラ見したシンクの前でチビッコ共が各々野菜を手にあーだこーだと言い合っていて…。

「よし…じゃあ最終手段だっ!ニイサン!」

その矛先が俺の方に向いた。

「…んだよ。」

眉をひそめ言い出しっぺの春日部を見る。

「久遠からのメニューのメモに『サニーレタス』ってあるんですけど!」

「これでしょ、お兄さま??」

カウンター越しに芹が差し出したのは…どこからどう見ても。

「…キャベツ。」

「やっぱり!ニイサン、これですよね??」

不正解の芹の横から西野が差し出したのは…。

「惜しい…そりゃただのレタスだ。」

「…ニアピンですか?」

「だぁから違うって言ってんじゃん!これですよねっ??」

ガックリとうなだれた西野を押し退け春日部が自信満々に差し出したものは…。

「…そりゃお前…白菜だろうがよ。」

『えーっ!?』
…と驚く三人を見ながら俺は溜め息を吐いた。

あまりにも…酷いだろうがよ。
…つーか、こんなにも料理オンチなヤツラは和美以来だぜ。

未だに冷蔵庫の野菜室を覗きながらギャイギャイと騒いでるヤツラの後ろ姿を見て…俺はデカい溜め息を吐いた。





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あきゅろす。
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