K I R I B A N





フラップを閉じ携帯を胸ポケットにしまっていると…目の前にいた春日部が俺を見上げてニヤッと笑った。

「…んだよ。」

「相変わらずラヴラヴですねー妬けちゃうな!」

ニヤニヤと笑う春日部が目を細めて茶化しモードに入る。
それを見ながら真っ直ぐキッチンに向かいカウンターの椅子に腰掛けた。

「…っとに最近お前は柊に似てきたな。」

テーブルにヒジをつき手の甲にアゴを乗せてチラと見返す。
するとヤツは…。

「僕が祐一郎に!?やだなぁ…それは心外!」

そんな憎まれ口をたたき笑いながらキッチンに入っていった。

可愛い顔をしている割に春日部はなかなかのクセ者だ。
この俺を冷やかす辺りコワい物知らずなのか…と思いきや、柊とは違いちゃんとツボを押さえているから地雷を踏む事はまずない。

度胸はあるわ腕に覚えはあるわでヤツは面白い。
だからか結構気に入っていたりする。
…柊といる時はガキ丸出しだがな。

冷蔵庫を物色している後ろ姿を見つめ腕を組む。

ヤツは人付き合いも下手じゃないのに柊とは年中ケンカをしている。

それはなぜか。

柊が…春日部にとって最も特別で大事なヤツだからだろう。
言いたい事を押さえず自分をさらけ出している。
見ている限り柊もそうだから…どっちもどっちだな。

二人の小競り合いを思い起こし…口元が緩む。

ヤツラ二人は…手の掛かる分、可愛いと思う。

そんな事を思いながら、仲間達と笑っている春日部を見つめた。





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あきゅろす。
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