K I R I B A N






抱き締めていた身体を離して少し赤味のさした頬に掌を添える。
ゆっくりと顔を近付けると…飛鳥が戸惑いがちにまぶたを閉じた。

まつげ…こんなに長かったんだ?

今まで気付かなかった幼馴染みの可愛らしさに少しばかり戸惑う僕。
どんな些細な事だって…僕が飛鳥のコトで知らないなんてあるハズない、と思っていたから。

すると…
飛鳥のまぶたが震えて少しだけ開いた。

「クンちゃん…無理しなくていいよ?」

…多分、いつまでもキスしてこない僕に変な気を使ったんだろう。
しかしその的外れな気遣いがまたムカツクんだ。

「僕が無理してるって?そんな事しないの…オマエが一番良く知ってるだろ?」

見開かれた瞳を確認してから唇を重ねる。
油断していた隙間から舌を滑り込ませて逃げ遅れた舌を捕まえて絡め取った。

「…んぅ…ッ…」

苦しげに唸る飛鳥をキツく抱き締め更に深く口付けると…伸ばされた細い腕が僕の首に巻きつきグッと引き寄せられた。

最中にうっすらとまぶたを開けば極近くに飛鳥の必死な顔が見れて…舌を解き重なっていた唇をゆっくりと離した。

「ン…っは…」

解放した飛鳥が真っ赤な顔を逸らし小さな身体全部を使って荒い呼吸を繰り返す。
それがまた妙に可愛くてついついイジメたくなってしまう。

「飛鳥…僕に告れよ。」

「…えっ…?」

「聞こえなかった…?オマエまだ僕にちゃんと告白してないだろ?」

ボッと赤くなる顔がメチャクチャ可愛い。
表面的に無表情を決め込みながらも内心はその可愛さにヤられつつある…そんな僕を真っ直ぐに見つめ、飛鳥が唇を開いた。

「クンちゃんオレ…クンちゃんの事、ずっとずっと前から好きでした!おっ…オレと…」

ゴクン、と唾を飲み唇を噛み締めて。

「オレと………お付き合いを…っ…」

内気な飛鳥の一世一代の告白だってのに後半は照れにやられてゴニョゴニョと口ごもってしまう。
相変わらずなその様子に胸の奥から愛しさがこみ上げてきて…僕は飛鳥の首元に手を添え唇を塞いだ。

「ク…ンちゃ…」

「上出来だ飛鳥。ご褒美に…僕をくれてやる。」

もう一度唇を重ねる。

この瞬間…僕らの関係は幼馴染みから恋人同士へと変わった。





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あきゅろす。
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