K I R I B A N






屋上での一時を終えて教室に戻るとさっき屋上から強制排除したテツが僕を見付けて駆け寄ってきた。

「なんだよクンちゃんミズクサイー!飛鳥ちんが来るならそう言ってくれれば俺、気を利かせたのにさ?」

"コノー"なんて僕の背中をヒジで軽く小突くテツのケツに蹴りを一発。

「もー!乱暴だなぁ!」

ケツを擦りながら嬉しそうに笑うテツを見上げて席に着き、次の授業の支度を始める。

「…飛鳥に会ったの?」

「うん。俺が泣く泣く屋上を後にしてる途中の階段で。スッゲ嬉しそうだったよん?」

ニヤニヤ顔を近付け僕の耳元にそっと手を添えて…。

「あんな時間じゃ最後までデきなかったんじゃない?」

「………………なにを?」

意味不明なテツのセリフに眉を寄せてそう聞き返す。
すると一瞬、時が止まり…僕の背中をバンバンと叩きながら。

「やだなークンちゃん!純情なボクにそんな事言わせちゃうの?軽く羞恥プレイじゃん!」

ガラにもなく顔を赤くするテツを冷ややかに見つめてその胸倉を掴んだ。

「お前の言ってる事が分からん。ちゃんと僕に通じるようにしゃべれ。」

目付きの変わった僕にたじろぎ慌てるテツが目をパチクリさせて。

「もしかして…マジで言ってんの?」

「…僕は冗談は嫌いだ。」

…しばらく黙って見つめ合いテツが大きな溜め息を吐いた。

「飛鳥ちんはクンちゃんの事が好きなんだよ!」

僕の隣りの机に座り椅子に足を掛けてるお行儀の悪いテツを見上げる。

「好きなのは当然だろ。僕と飛鳥は幼馴染みなんだから。」

何を今更、と付け足し机の上にノートを広げた。

「んー…あのね、その好きとは違うんだよ。まあぶっちゃけ、セックスしたいっつー好きだよね。」

腕組みしながら勝手にウンウンと頷くテツを半ば放心状態で見る。
あの飛鳥が…この僕とセックスしたい、と?
呆れてものも言えない。

「…いくら男子校だからって…」

「あれ、クンちゃん知らないの?飛鳥ちんは一年の"抱きたいランク"の上位にいる子なんだよ?」

「なんだその…"抱きたいランク"ってのは。」

…というか何だこの意味不明な会話は。

「やっぱ男子校ですからソッチに話はいくでしょ?ちなみに生徒会の一年のクラス委員の春日部くんも上位だよ?」

「はあ??」

春日部って…あのちっこくて可愛らしい顔してる…?

「他にも…」
「あーもういい。つか、だからなんなんだよ!」

訳が分からず頭が混乱してきた。

今は…飛鳥の話じゃないのか??
つか、飛鳥は…僕の…。

「だから…クンちゃんがいらないなら、飛鳥ちんを俺にちょうだい。」

頭を抱える僕に頭上から…テツの信じられない言葉が投げられた。

「俺ホントはクンちゃん狙いなんだけど、クンちゃんバリタチじゃん?だから、可愛い飛鳥ちんなら申し分ないし。」

「…なんだそれ。」

僕狙いだ?
いや…そんな事より。
僕に望みがないから飛鳥でいいや…って事か?

「ねぇ、クンちゃん?」


バンッ!!


ガッタン!


机をぶっ叩き勢い良く立ち上がると、座っていた椅子が派手な音を立てて倒れて…ザワザワしていた教室が一瞬にして静かになった。

「テメ…ざけんなよ。飛鳥は僕の…。」

胸倉を掴み引き寄せたテツを睨み付けて…。

「僕のモンだ。」

そう、言い放った。





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あきゅろす。
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