K I R I B A N




今日は久々に…俺と彼チャン・楓との二人きりのお勉強会。

明日は抜き打ちのプチテストがあるという裏情報を入手したので、今の内に少しでも楓のポイントを上げておきたい…その一心でこのお勉強会を計画したのだが。

「…遅い。」

この話をするやいなや、楓のヤツ『ちょっとトイレ、行ってくるね!』と怪しさモロ出しでこの部屋を出ていった。

そして…すでに十五分が経過してるわけだ。

楓の部屋で机の上に教科書広げて腕組んで。
…ったくアイツめ。
まさか逃げたんじゃねぇだろうな?

「…まさかな。」

椅子から立ち上がり教科書を閉じてドアを押し開ける。
静かな廊下を真っ直ぐ歩いて階段まできて…。

『じゃあこれ。』

『うん。ありがと!』

階段の下で誰かと楽しそうに話している楓を見付けた。
…相手は確か同じクラスのヤツ。

ソイツは…楓の肩にさり気なく触れ嬉しそうに笑っていて。
それを階上から見ている俺の腹の中では嫉妬と怒りが渦を巻き、急速に増幅していった。

…ちょっと…どう言う事かな、楓チャン?
恋人を自分の部屋に待たせて…オマエはここで一体何をしてるんだ?

ガン見している視線を感じたのか相手のヤツがふとコッチを見上げて…ビクッとしてから玄関に向かって走って行った。
その場に一人残された楓は…"?"マークが頭上にポンッと浮かんでるような状態で首をひねりゆっくりと振り返って…。

「アッ!佐古っ!?」

階上にいる俺を見付け慌てて階段を駆け上がってきた。





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