K I R I B A N






いつもと同じ昼下がり。

もう数十分もすればまた退屈な教室に戻らなきゃならない。
今は食後のまったりタイムを仲間達と共にいかがわしい購買部の奥部屋で過ごしている。

「なーんか…おもしれー事、ねーのかな?」

大あくびをしてゴロンと畳に横になった柊を隣りに座る春日部が冷たく見下ろす。

「…食べてすぐに寝ると肉になるよ、ゆう?」

「…にく?」

閉じていた瞳を片方だけ開き唇の端を上げて。

「せーっかく弘樹とのセックスで鍛えた筋肉が衰えるのはヤバいね?」

ガバッと起き上がり顔を真っ赤にした春日部を柊が力一杯抱き締めた。

「イ…いたたたっ!」

「ひろー!」

…ホントにコイツも救いようがねぇな。

キツく抱いてたハズの腕を外され逆に十字に固められちまってる柊をチラ見して…ひとつ溜め息を吐いた。

「ルセーっつってんだろが!」

腕を決められて無防備な柊を見下ろし俺サマが露骨に嫌な顔をする。

「ボス!タッチ!タッチ!」

「するかアホンダラ。」

深い溜め息を吐いて振り返ると…俺の横に座る楓に小さな箱を渡して。

「やるよ。…西野には刺激、強過ぎんかな?」

後半の声がひそまったのをいぶかしく思いつつももらった箱のリボンを解き始めた楓の手元を覗き込んで…。

「わあ!美味しそうだ!」

途端に楓の瞳がキラキラと輝き出した。

「これ、僕がもらってもいいんですか!?」

興奮気味な楓の手の中にはツヤツヤのチョコレートがコーティングしてある『いかにも甘そう』な感じのかたまりが二つ。

「食え。」

「はい!いただきます!」

嬉しそうに顔を緩めた楓を見つめて…俺まで嬉しくなってしまう。

「うまっ!美味しいですニイサン!」

満面の笑みを浮かべる楓が残る一つを口に含んだ瞬間…。

「あれ拓真…夕べのラム酒増量のチョコ、どうした?」

「ああ。西野にやった。」

「えぇっ!?」

ちょっ…なんだよそれ?

なんかおかしな話になってる二人を見つめる横で…俺の可愛い楓チャンが二個目のチョコをゴクン、と飲み込んだ。





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あきゅろす。
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