K I R I B A N
1
良く晴れた日の昼休み。
珍しく俺サマに呼ばれて購買部の奥部屋で久遠作の昼飯をごちそうになっていた。
「美味しかった!ごちそうさまでした!」
俺の隣りに座る楓がお行儀よく両手を合わせてニッコリと笑う。
それを見つめ久遠がやんわりと笑った。
「ゴチ、久遠。」
「ん、お皿はこっちに持ってきてね?」
頷き立ち上がったのに続いて楓が慌てて立ち上がり、俺の分の皿も持って久遠の待つシンクへと急ぐ。
そして二人並んで楽しそうに皿を洗い始める楓の後ろ姿を見つめて…思わず笑みがもれた。
不器用なのに一生懸命。
そこが楓の最大にして最高に良い所だ。
「んだ…ニヤニヤして気持ちワリィな。」
…ついでに鼻の下も伸ばしちゃってるぜ的な俺をジッと見ながら俺サマがからかうような視線を向けた。
「…俺サマだって久遠のケツ見てる時はこんな顔してますけど?」
悔し紛れにそう言えば、口の端をクッと上げて笑って。
「ヤってん時はもっとニヤニヤしてるぜ?」
なんて、イタイケな男子高校生に下ネタを振ってきやがる。
全く…しょーがねぇ人だな…と苦笑い。
「あ、そういえば…今日なんかあったんスか?」
「…なにが?」
「せっかくのセックスタイムに俺らを呼んでくれるなんて…?」
コーヒーの入ったマグを傾けながら俺サマがちゃぶ台の下から大きな箱を引き出し…。
「これやるよ。」
そう言って笑った。
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