K I R I B A N
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今日はめずらしく拓真が出掛けていて…バイトが終わって帰ってきた部屋の中はシンと静まりかえっていた。
「ただいま…。」
電気を点けてテーブルに荷物を置き、本屋さんの紙袋を片手にベッドに向かう。
腰掛けてその中から一冊の雑誌を取り出した。
「…買っちゃった。」
さっき本屋を物色しながらふと目についた…男物グッズの雑誌。
拓真の誕生日も近い事だし…こういう時くらいなにかしてあげたくて。
ベッドに横になってアイテムを隅々までチェックし始めた。
「拓真…絶対こーゆーの似合うよなー。」
深いVのカットソーを見ながらなんとなく想像。
細身だから…スレンダーな拓真にピッタリ!
「シルバーのバングル…あ、いいかも。」
見る物全てを拓真に当てはめ、どれも似合うなぁ…なんて思って照れてみたりして。
なんか俺…恋するオトメみたいだな…。
浮き足立ってる自分に軽くヘコんだ。
すると…テーブルに置いてたカバンが低い唸りと共に震えだす。
「あ!携帯!」
跳ね起きて鞄を開けると着信を告げるライトが点滅してて…慌ててフラップを開き耳に当てた。
「もしもし?」
『…智?』
流れ込む低い声に…
なぜか…すごくドキドキした。
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