K I R I B A N
A

智のクラス…今日の体育は外でサッカーらしい。

俺はボンヤリと購買奥の部屋の窓からグラウンドを眺めていた。

ここからグラウンドまではそう遠くないのでヤツラの顔まで良く見える。

試合してないチームがその外周をランニングしてて…その中に愛しい智を見付けた。

濃紺のジャージの上下に身を包み…隣りの良介としゃべりながら走ってる。

…可愛いな。

「可愛いッスね…ヒメ。」

どこからともなく声がして…ふと下を見ると、窓の下にしゃがみ込んでる柊がいた。

「…お前なにしてんだ?」

「え…まぁ、色々と。」

よく見たら…唇の端が切れて血が出ている。

「またケンカか。」

「いやぁ…どうも俺、人気者みたいで…。」

「あんまり目立つなよ。お前とつるんでるアイツまで狙われ兼ねないからな…。」

はは…と笑ってた声が止み柊が顔を上げる。

「マズいッスかね?」

「…俺がいない時はお前が智を守れ。」

キョトンとした顔がキュッと引き締まり…

「お任せ下さい、ボス!」

グラウンドでは走り終わった智が…コッチに気付いて小さく手を振っている。

「きっちりヒメを守れたら…ご褒美いいッスか?」

「…ご褒美?」

「ヒメのチュー…」

頬を赤くして唇を突き出す柊の脳天に…肘を振り下ろした。


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あきゅろす。
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