K I R I B A N
F
身体を重ねて…心地良い気怠さのまま、俺の腕の中で瞳を閉じてる弘樹の額にキスをした。
「ね…さっきの話なんだけど?」
「…相談の話?」
「うん。」
またか…って顔した弘樹が溜め息吐いて俺の唇に触れるだけのキスをした。
「あの人ね…好きな人がいるんだって。」
「…へぇ。」
それは意外だ。
ヤツはどう見ても…恋に悩むようなタイプには見えなかったけど?
「でも…なんで弘樹が相談に?」
「イイ男だから、つい。」
アハッ…
と笑う顔は可愛いのに…そのキッカケはどうなんだよ!
「…ここからの話を聞いたら…祐一郎にも手伝ってもらうけど?」
「なにそれ?」
そんな俺の目をジッと見つめる瞳に戸惑う。
…めんどくさそうだな。
でも…好奇心には…勝てない。
「…分かったよ。教えて?」
「あの人…ウチの生徒会の副会長でね。会長の事が好きなんだって。」
「…生徒会長?……え?」
…俺の格闘技仲間の須藤さんかよっ!?
「そんな訳だから…今度Wデートしよう!」
「…俺に…須藤さんを誘えと?」
「適任でしょ?」
満面の笑み。
…この笑顔に弱いんだ。
「はいはい…分かりましたよ。」
「頼りにしてるよ!」
唇に弘樹がキスしてきて…俺はその細い身体を抱き締めた。
俺の早トチリで…ホント良かった。
弘樹に気付かれないように…静かに安堵の息を吐いた。
‐END‐
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