K I R I B A N
B
抱き締めた俺の腕の中で暴れてた弘樹の身体から段々と力が抜け、差し入れた舌にゆっくりと応え始める。
その頃合を見計らって離した唇を耳元に寄せた。
「内緒はヤだよ…弘樹?」
「…祐一郎…そんなに僕が信用できないの?」
俺の耳元で小さく呟く。
抱いた身体を離し、潤んだ瞳の弘樹を見つめた。
「信用してないんじゃないよ。」
「…え?」
「誰かに持ってかれちゃうんじゃないか…って心配なんだよ。」
溜め息と共に…吐き出す本音。
なんか俺、ヘタレっぽいかも…イヤ。
惚れた弱みってヤツか?
「…バカ…。」
照れたように頬を赤くした弘樹が俯き、俺はその額にキスをした。
「…バカでもいいよ。」
小さな身体をそっと抱き直し、サラサラな髪を撫でる。
「…あの人のね…相談にのってたんだよ。」
「へっ?」
意外な答えに驚いて思わず声が裏返った。
「安心した?」
「…うん。」
伸ばされた細い腕が俺の首にかけられ…グッと引き寄せられる。
「ひろ…」
「ね…ちゃんとキスして?」
可愛らしく微笑む顔に、さっきまでの不安も吹っ飛ぶ。
「弘樹…。」
閉じられたまぶたに唇で触れ…
柔らかい唇に、俺の唇を重ねた。
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