K I R I B A N
A
弘樹の買い物も終わり、小腹の空いた俺たちは駅前のマックで向き合ってバーガーにかぶりついてる。
「だからさ…弘樹?」
そう聞くのも何度目なんだか。
さっきのヤツの事を聞く度に話を逸らすし目も合わせないし。
気になって仕方ないのに弘樹は今も目の前でメールしまくってる。
スゲー…イライラする。
「弘樹…マジで怒るよ?」
液晶に釘付けの視線が俺に向けられ…不満そうに眉を寄せた。
「…しつこいな。内緒だって言ってんだろ?」
いつもの可愛い顔が憎らしく見える。
シツコイ?
そうきたか。
「内緒って…なんだよ。俺は弘樹の彼氏なんだから…聞く権利くらいあると思うけど?」
パタン…と携帯のフラップが閉じられ、不機嫌丸出しな弘樹が俺を睨み付けると。
「…帰る。」
短く吐き捨て席を立ち…乱暴にカバンを掴んで出口へ向かって大股で歩いてく。
俺もカバンを引っ掴んでその背中を追った。
「待てよ…おい!」
店を出て真っ直ぐ歩き…寮に向かう踏み切りの手前でやっと捕まえる。
「ちょっと来いよ。」
「離せッ!」
掴んだ腕を引き…駅前のトイレへ連れ込む。
「なんだよ!この…」
暴れる体を抱き締め、俺の唇で強情な唇を塞いだ。
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