K I R I B A N
A
陽が少し傾き辺りをオレンジ色に染めてく。
マンションから少し離れた所に小さな川が流れてて、その川沿いに連なる桜並木を拓真と二人…手を繋いで歩いている。
「八分咲きってトコか?」
枝垂れる桜に顔を寄せ…拓真が目を細める。
「そだね…。」
そんな拓真を見ながら…つい見とれてしまい照れくさくて目をそらした。
「…なんだよ。」
「別に…。」
回りには結構人がいて、花見をしてる輩なども出ていて賑わっている。
すると…俺の手をギュッと握った拓真が早足でズンズンと歩き出した。
「ちょっ…どうしたの!拓真…ッ?」
グイグイ引っ張られ段々と桜も人も見えなくなって…やっと止まったのは桜並木からずいぶんと離れた静かな公園。
「なに…どしたの急に?」
掴まれてる手が引かれ…拓真の腕の中に収まる。
「たく…?」
「お前が…あんな顔するから悪い。」
…は?
あんな?どんな?
アゴに掛けた指に上向かせられて…キスをした。
軽くついばむキスから次第に深く変わり…
拓真の手の平が俺の身体を静かに滑り降りてく。
離れた唇が俺の耳たぶを噛み舌が中に入れられて…
「なぁ…シようぜ?」
低くて甘い声が…注ぎ込まれた。
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