K I R I B A N
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開けていた窓からほんのり香る桜…かな?
誘われるようにベランダに出た。

辺りはまだ明るくて…日が延びたのと同時に道路で咲き誇る桜に春を感じる。


ププーッ!


階下を走る車から聞き慣れたクラクションが鳴り…シルバーのレガシィがマンションの駐車場に入っていく。

―拓真だ。

すると部屋の中でホルダーに立ててある携帯から着メロが流れてきて…。

「…早く上がってくればいいのに。」

文句言いながら着信を受けた。

「もしもし?」

『ちょっと降りて来いよ。』

「…だってご飯の支度…」


プツッ!


…切られた。

「ホントにワガママなんだから!」

なんてブーたれながらスウェットを脱いでジーンズに履き替える。

戸締まりして…ガスの元栓閉じて…。

部屋の鍵を掴んで裏フリースのパーカーを羽織り外へ出た。


エレベーターを降りるとマンションの植え込みの前でタバコをふかす拓真が…俺に気付き揉み消すと携帯灰皿に吸い殻を入れた。

「お帰り。」

「ただいま。」

隣りに並び拓真を見上げると…キレイな顔がゆっくり近付き唇が重なる。

「…なんだ…今日は抵抗しねぇの?」

「抵抗しても…するでしょ。」

熱くほてった頬を…拓真の胸に寄せた。


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