K I R I B A N
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それからと言うもの…

毎日持参してた弁当を一日抜いてパン昼にしたり…早く食べて階段の中腹辺りで【パン屋のニイサン】に熱い視線を送ったりしてた。

その日もいつものように人混みをかき分け彼の元に辿り着き…。

「はいよ。久遠くん?」

目が…点になった。

なんで…俺の名前を?

手渡された袋の中身は…俺がいつも買ってるハムチーズパンとナポリタンのパン。

「キミ、良介の友達なんだろ?」

え?
なんで良介??

「アイツをよろしくね。」

柔らかく笑った顔に益々…惹かれてく。

それを教室に持ち帰り良介に話すと。

「…アイツ…俺の兄貴なんだ。」

苦々しい、と言う顔で視線を外に向ける。

「言ってくれれば…」
「お前、アイツの事好きなのか?」

思わず…返事に困ってしまった。

「ゴメン…変な意味じゃなくて…」
「俺…お前の兄貴が好き…だ。」

俺の言葉に反応した良介は明らかに戸惑ってて。

…やっぱ…ノンケの奴にこんな話はキツいよな…なんて…。

「それは別にいいんだ。」

サラッと流されて…それに驚く。

「俺の兄貴さ…なんて言うか…。お前に似合わないと思うんだ。」

真っ直ぐ見つめる黒い瞳を食い入るように見つめ返した。


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