K I R I B A N
C
「…そう言や…そんな事もあったな。」
目の前の智は薄暗い部屋の中でも分かる程に頬を赤くしてる。
サラサラな髪を撫でて額にキスをした。
―スゲェ印象的だった。
あの頃…
ムサい小僧共相手に毎日毎日パン売って。
飽き飽きするわ、うぜぇわで…ウンザリしてた。
そんな時突然、目の前でつんのめってコケそうになった小僧。
後ろのヤツがパン欲しさに突き飛ばしたんだろうな…運の悪いヤツ。
そう思って…
『大丈夫か?』
声をかけた。
俺の声に上げた顔は…まだあどけない少年で。
しなやかなフェイスラインに柔らかそうな唇。
少し大きめの色素の薄いブラウンの瞳がスゲェ淋しげに写った。
整った顔立ちの…キレイなヤツ…だった。
目を閉じてあの時の智を思い出し…目の前の可愛い恋人を見つめた。
「…なに?」
「あの時は可愛かったけど…今はキレイだな。」
頬に手を添え…唇にキスをする。
ゆっくりと味わうように舌を絡めて…細い身体を抱き締めた。
「拓真は…変わんないね。」
「…そうか?結構男前になったと思うけど?」
クスクスと笑う首筋にキスして…滑らかな肌に舌を這わせた。
「あ…ッ…」
「…んで?その続きは?」
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