K I R I B A N
C
それからまた少し走り…有名なデートスポットに到着。
「…ここって…。」
「なんだよ。」
「恋人同士で来ると必ず別れる…ってトコだよね?」
少しむくれた顔で俺を見上げる。
…そう言う事は良く知ってんだな?
「奉られてんのが女のカミサマだからだろ?お前は男だから大丈夫だ。」
有無を言わさず手を引いて車の外に連れ出した。
「ホントに別れたらどうすんの…?」
重い足取りに気付き振り返ると眉を寄せて不安そうな顔をする。
その頬に手を添えて。
「バカだな。別れたらまた一緒になりゃイイんだよ…てか俺は別れねぇけど。」
唇に触れるだけのキスをする。
「ここの頂上から見る景色…結構好きなんだ。だからお前を連れて行きたいんだけど?」
キュッと結んだ唇が緩く解け…やんわり微笑む。
「別れても知らないからね。」
「バーカ。お前が別れるっつっても離さねぇよ。」
手を繋いで歩き出す。
懐かしい感じの土産物屋の間を入り…頂上までのエスカレーターで昇ってく。
「…わ…スゴい!」
頂上に降り立った智が感嘆の声を上げた。
今日は快晴だから…海の向こうに隣りの半島が見え…その逆には富士山がうっすらと見えた。
「キレイだろ?」
笑顔で頷く智の唇に唇を重ねた。
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