K I R I B A N
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「起きろよ。」
ベッドに腰掛けスヤスヤと寝息を立ててる智の身体を軽く揺する。
「…ん…?」
ゆっくりと開くまぶたにキスして、寝起きの可愛い顔を見下ろし…その前髪をかき上げた。
「たく…?」
「起きろ…出掛けるぞ。」
起き抜けのトロンとした瞳がパチッと開き嬉しそうに細まる。
昨日、車検明けで帰ってきた車を眺めながら智が…
『たまにはどっか行きたいな…。』
そう呟いたので、二人であれこれと予定を立てていた。
…が。
その内にセックスし始めちまったもんだから予定は立ち消え。
そう思ってたんだろな?
「いいの?」
「いいよ。俺の気が変わんねぇうちに支度しな。」
伸ばされた腕が床に散らばる下着やシャツを拾い上げ…布団の中でゴソゴソとし始める。
まさか…
着替えてんのか?
「ねぇ…?」
「ん?」
頬を赤くした智が俺を見上げて。
「シャワー…浴びてもいい?」
「…いいよ。」
布団を跳ね上げTシャツとスウェット姿の智が小走りに風呂場に向かった。
俺は取りあえず手荷物の確認をする。
…と?
「…歌?」
風呂場から聞こえてきたのは…楽しげな智の鼻歌。
ホントに嬉しいんだな。
自然と頬が緩んだ。
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