K I R I B A N
@
…全く。
「えっ?カニ?嘘…マジ信じらんない!」
…お前のが信じらんねぇっつの。
ボチボチ日が暮れて夕飯だってのに。
コイツときたら…支度しながら長電話してやがって…しかも有り得ねぇ。
相手は「信人」だ。
智の…初めてのオトコ。
良介や柊ならまだしも…そんなヤツと話に夢中になってるコイツってどうなんだ?
ソファに座ったまま首だけ後ろを向けると、受話器を肩に挟んで揚げ物してる姿。
…俺の中で…嫉妬の炎が燻り出す。
そんな俺に全く気付かない鈍い智は…くるっと俺を振り返り通話口を軽く押さえ笑顔で。
「拓真!信人がね、カニとエビ送ってくれるって!」
…いるかそんなもん。
「あとウニもだって!」
…のヤロー…わざとか?
言うだけ言って、可愛くない恋人はキッチンに戻って行った。
俺は黙って立ち上がるとそのままキッチンに向かい…しゃべってる智の背後に立ち、細い身体に腕を巻き着ける。
驚きビクッと震える腰を引き寄せて首筋に舌を這わせた。
「ん…なんでもない…。」
返事をする声が小さくなり俯いた頬が赤くなる。
俺はそのままガスのスイッチを切ると、もがく智をシンクに押し付けてシャツのボタンをひとつずつ外しにかかった。
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