K I R I B A N
C
「どうしていいかわかんない?」
優しくそう言う拓真に小さく頷く。
「そんなの簡単だ。」
アゴに指がかけられて顔を上向かせられ…唇が重なった。
「俺の側にいりゃいいんだよ。」
「…え…。」
「お前もやっと…俺と同じレベルになった訳だな。」
そう言って嬉しそうに笑って…。
「俺も…お前が好き過ぎてどうしようもなくなる時がある。さすがに泣かねぇけどな。」
そう言われて顔が赤くなった。
「身体の芯から溢れ出す愛しさ…みたいな感じ?んで繊細な智ちゃんは幸せ過ぎて「もしも」を考えちまう訳か?」
…当たり。
て言うか…泣けちゃう程に俺を好きでいてくれてるんだ?
拓真が…俺を?
「前も言ったけどさ。」
頬に手の平を添えて唇を重ねる。
「俺はお前を離す気ねぇから。」
黙って頷く。
「俺だって…これでも悩む時あるんだぜ?」
「…え?」
「自分の気持ちぶつけ過ぎて…お前に愛想尽かされるんじゃねぇかとか、他のヤツに持ってかれるんじゃねぇかとか…。」
苦笑いしながら俺を見下ろしてキスして…。
「俺こそ…幸せ過ぎてお前を失うのが怖いよ。」
身体が熱くなる。
拓真も…
同じ事を思って…同じ気持ちでいてくれてたんだ?
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