K I R I B A N
J ―佐古SIDE―
…ったく…柊がつまらん提案すんからめんどくせぇ展開になっちまったじゃねぇか。
横で柔軟なんかしてるヤツを恨みがましく見たりする。
ここまでの費用、全額俺サマに出してもらっちまってるから…ここからは俺達で、と思ってたのにな。
コトが勝負、となったら負ける訳にはいかねぇ。
人知れず…俺も地味に燃えたりしてる。
「佐古ぉ…。」
そんな俺のシャツの袖を引っ張る楓を見下ろす。
「ね…僕、自信ないよ。」
バッティングセンターでのあの生き生きとした目はどこにいったんだか?
目の前の可愛い恋人の髪を撫でてそっと抱き寄せて…。
「大丈夫だ。俺とあの筋肉バカが頑張るから楓は楽しみな?」
「…佐古…。」
ほんのりと赤く染まる頬に掌を添える。
「僕も頑張るからさっ!」
愛の語らいしてる横から春日部がひょっこりと顔を出してニヤッと笑う。
…こういうトコ最近柊に似てきたよな?
側にいると行動とか似てくるもんなんだな…と思いニヤついてしまった。
「さて…と。」
隣りの俺サマチーム…もとい、兄弟チームをジッと見据えて。
「サックリ勝って気持ち良くおごってもらおーじゃん?」
そう言った柊を見ながら…俺もまた闘志を燃やし拳を握りしめた。
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