K I R I B A N
C

寮に着くまでずっと手を繋いでた。

途中、何人かウチの生徒みたいな人達とすれ違ったけど…大葉は繋いだ手を離そうとはしてくれなくて。

「なんで離さなきゃいけない?」

なんて逆に聞かれちゃったりして。
そんな男らしい大葉に…胸がドキドキした。

寮に向かう緩やかな坂を上ってる間も大葉はいつもと変わらない笑顔で笑ってくれて。
到着してお互いの部屋の前に立って『後でね!』って言ったのに…なんだかまだ離れたく、ない。

「大葉…俺の部屋、来る?」

…って!
なに言っちゃってんだー俺???
恥ずかしくて顔から火が出そう!
いや、もう絶対出てますからーッ!!

「いい?」

「……………へっ?」

ドアの前で頭を抱えてしゃがみ込んだ俺の前に、同じように大葉がしゃがんで。

「芹の部屋、寄ってもいいか?」

…なんて!

そんでやんわりとか笑っちゃうんだもん大葉ってば…それは反則だよ?

「…よ…っ…」

「…『よ』…?」

顔が熱い。

顔だけじゃないや…膝の上に置いた手に大葉の手が重なってジッと見つめられて…。

ヤバいって!
身体まで熱くなってきちゃったよ!

「…芹?」

「…よ…。」

スウッと息を吸って…。

「よろしいよ!」

あー!?
何言っちゃってんの俺!

すると…
目の前の大葉がお腹を押さえて笑いだした。


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