K I R I B A N
H ―智SIDE―

何気に楽しかったバッティングセンターのある別館から本館に戻り、今は映画館のロビーにいる。

「西野のバッティングにはビックリだったね?」

ホットココアとポップコーンを持った春日部が、振り返ってそう言って。

「そう、俺もビビった。西野お前イケてたぞ!」

「え…そ、そう?」

飲料のパックを両手に抱えた柊からの大絶賛に西野は照れてデレているようで…その顔が可愛くて芹と目が合いつい笑ってしまった。

館内に入り先に取っておいた席に座り買ったものの分配を始める。

「はい、拓真。」

俺の隣りに座ってる拓真にドリップコーヒーを差し出した。

「サンキュ。」

それを受け取り一口飲むとすぐ…拓真が俺の肩に頭を乗っけて。

「…たく?」

静かに眠ってしまった。
…もしかしたら俺が戻ってくるの、待ってた?
そんな都合いい事を考えて…すやすやと眠る拓真のサラサラな髪に指を通す。

最近忙しそうだったから仕方ないよね…?

「…いつもご苦労さま。」

肩の上の拓真の額にキスをして…俺の膝に掛けてた上着をその細い肩にそっと掛ける。

それと同時にブザーが鳴り照明が落とされて…映画が始まった。


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あきゅろす。
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