K I R I B A N
A

机の片隅に置いた腕時計をジッと見つめて唇を噛む。
俺のメヂカラで針がちょっとでも早く進まないかな…なんてまで思っちゃう程、時間が経つのが待ち遠しかった。

だって今日は…
待ちに待ってた『会議がナイ日』なんだもん、授業が終わったらすぐ帰らなきゃだよ!
この前は、購買に寄ったトコで委員会の人に掴まっちゃったから今日は、ね?

ーすると…?


キンコーン…


授業終了のチャイムが鳴り三越先生が入ってきてそのままHRに突入した。
先生からの注意事項とか連絡とかを聞き…終わると同時に大葉の手をギュッと握って立ち上がる。

「大葉、帰ろ!」

「ちょっ、芹…まだカバン…!」

途端、閉まってなかった大葉のカバンからドサドサと教科書がなだれ落ちた。

「あっ…ごめん、俺…。」

床にしゃがんで教科書と筆記用具を拾ってる大葉の横に座り、一緒に拾う。
消しゴムを拾った俺の手を…大葉の大きな手がやんわりと包み込んで…。

「芹…俺も今日くらいはお前とゆっくりしたい。だから…落ち着け。」

そう言われ、焦る気持ちが不思議とおさまる。
大葉が俺と一緒にいたい、そう思ってくれてるだけで俺は…。

「…幸せ。」

そう言って…
俺を見下ろす大葉の唇に…俺のを重ねた。


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あきゅろす。
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