K I R I B A N
G ―芹沢SIDE―

スゴイ、スゴイ!
スッゴーイ!!

球速110kmブースのガラス戸にへばり付いた俺は…空高く飛んでくボールと目の前でのすンごいスウィングに目を奪われてた。

隣りのブースで打ってる西野もすごいんだよ!
あんなに細いのに、あんなにちっちゃいのにー!

でもでも、やっぱり俺はね…!

「大葉ぁ!カッコいい!」

まるで乙女みたく大葉に夢中になってた。

「大葉もなかなかやるねぇ?」

そんな俺の隣りにきた春日部がガラス戸から中を覗き込んで"へぇっ!"って顔をする。
俺が褒められた訳でもないのに…なんか嬉しくなっちゃって。

「でしょでしょ!カッコいいでしょーっ!」

バカみたいにハシャギまくる。

すると…打ち終わったらしい大葉がヘルメットを外しバットを置いて中から出てきた。
少し汗ばんだ肌とか前髪をかき上げる仕草とかが堪らなく色っぽくて…俺は。

「大葉ーっ!!」
「うわっ!芹っ!?」

ギュウっと抱き着いた。

「カッコ良かったよー、大葉ぁ!」

Tシャツの胸に頬擦りしてもっとギュッと抱き着いて。

「も、大好きっ!!」

好きって気持ちがどんどん湧いてくる。
一分一秒…どんどん大葉を好きになってくんだ。

「なぁ、芹…?」

大葉に抱き着いてたハズの俺はいつの間にか抱き締め直されてて。

「…惚れ直した?」

赤い顔して俺を見下ろす大葉を見つめて顔がカーッと熱くなる。

「も、惚れ直すどこじゃないよ!惚れて惚れて…どーしょもない!」

チョー真面目に言った言葉に大葉が顔をもっと真っ赤にして、俺達の側にいた春日部と柊がお腹を押さえて大爆笑した。


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