K I R I B A N
⑥ ―弘樹SIDE―
駅ビル内のファミレスに入り案内されて席に座る。
それと同時にメニュー片手の僕ら腹ペコ集団はどとうの如く各々注文をし始めた。
｢カツカレーの大盛りとハンバーグセットをライスで！｣
最初にゆうが僕のも一緒に言ってくれて…。
｢温うどんといなり寿司のセットと…ロコ…モコ？｣
大葉と芹沢の分。
｢牛サーロインステーキセットをライスで…と、オムライス。｣
佐古は食べる物もちょっとリッチだ。
…とか色々と思いつつニイサンに視線を向ける。
｢たらこパスタセットをパンでと、コーヒー。｣
いつもながら…僕らは八人いるハズなのに注文数は七品とコーヒー。
身内ゴハンしか食べないニイサンの相変わらずさが可愛くて…なんか笑えた。
程なくしてテーブルの上が運ばれてきた食事で一杯になり…。
｢とっとと食え。｣
そんなニイサンの合図でみんなが一斉に食べ始めた。
｢そう言えばさ…。｣
ハンバーグを一口ほおばりながらチラと西野の方を見て。
｢西野がバッティングセンターって言ってたんだよね？｣
モグモグしながら本人に尋ねる。
ニッコリと微笑んだ西野がオムライスをすくったスプーンを口に運んで。
｢うん…僕、小学校の頃リトルリーグに入ってたから久し振りにやりたいなぁ…って思って。｣
『えぇっ！？』
西野の話に驚いたのは…どうやら僕だけじゃないらしい。
みんなが一斉に西野を見つめ…食べるのを忘れちゃったみたいに固まってしまった。
｢…そんなに…意外？｣
唇を尖らせる西野を見つめて…僕らは黙って頷いた。
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