K I R I B A N
B ―佐古SIDE―
久々に晴れた日曜日の午後。
爽やかな空の下、可愛い恋人と手を繋ぎ見つめ合って坂道を下っている。
…のに…。
「あーっ!佐古と西野が手ェ繋いでる!」
「いいなぁ!ねー大葉ぁ俺達もー!」
なぜか周りには…俺の良く知る連中がいる。
「芹…邪魔しちゃだめだろ?」
そう言って差し伸べた弟の手を芹沢が嬉しそうに握り…。
「弘樹!俺達も繋ごう?」
抵抗する春日部の手を無理矢理に繋ごうとしている柊がいて。
「…つか…なんでお前らがここにいんの。」
冷ややかな視線をヤツラに向ける。
「今日、お前ら映画観に行くんだろ?」
「僕らもご一緒しようかって話になってね?」
「俺、その映画観たかったんだよねぇ!」
「芹が行くならもちろん俺も一緒に行く。」
コイツら…勝手な事ばっか抜かしやがって…。
久々の楓とのデートが…こんな展開なのかよ?
はぁ…と溜め息を吐き可愛い恋人を見つめる。
恐らくなんの悪気もなくヤツラに今日の話を吐露しちまったんだろうな?
「みんなと一緒のデートになっちゃったね?」
やんわりと笑う楓を見下ろし苦笑いを浮かべる。
すると…?
「あれっ!?」
「Ohー!!くどーっ!ニイサーンっ!」
一番前を歩いてる春日部と芹沢が…踏切の向こう側に居る見つけてはいけないカップルを見つけてしまった。
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