K I R I B A N
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夜更けに目を覚ました。

カーテンを開いた大きな窓から月明りが差し込み薄暗い部屋の中をぼんやりと照らし出す。

裸の身体を後ろから抱き締められたまま…薄く開いた拓真の唇から洩れる静かな寝息に瞳を閉じた。

いつもなら疲れ果てて朝までグッスリなのに…。
胸元で交差してる拓真の腕を緩めて身体を反転させ…マジマジとそのキレイな顔を見つめてカタチのいい唇に唇を重ねた。

柔らかい感触を味わい…もう一度。

頬にかかる髪をそっとかき上げ…愛しい恋人の寝顔を瞳に焼き付ける。

そんな俺の心をいつも占めてるのは拓真との甘く蕩けるような幸福感と…少しの不安。

こんなに人を好きになったのは初めてかもしれない。

この幸せがずっと続けばいい…でも…いつかは終わってしまうのかも。
そう思うと…不安で堪らなくなる時がある。

俺は…
泣けちゃうくらい拓真が好きだ。
オレさまな所もキレ易い所も全部引っくるめて拓真が好きなんだ。

だからこそ…
「もしも」を思い浮かべては苦い想いを噛み締める。

愛しい拓真といつまでもこうしていたい。

その気持ちが大きくなり過ぎて…自分でもどうしていいか分かんなくて…。

ただ…この幸せな毎日が終わらぬよう祈る事しか…出来ないでいる。


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