K I R I B A N
B
坂を下りきり佐古と一緒の時、いつも利用する駅前のファミレスに入った。
近付いてくるウェイトレスさんの誘導を断り…先にきているハズの隼人クンを探す。
「おーい!」
声のする方に視線を向けると窓際の席に座ってた隼人クンがスッと手を上げてくれてて。
「行くぞ。」
佐古に手を引かれ真っ直ぐそっちに向かった。
いつものように窓際に押し込まれてその隣りに佐古が座る。
顔を上げた先には…すごくキレイな女の子が座っていた。
「おっせーよ!」
「…ワリィ。」
いつもと変わらぬ佐古との短い会話が終わり、僕に視線を移した隼人クンがその隣りのキレイな娘を示して…。
「わざわざ呼んでゴメンね楓チャン!こっちは…俺の彼女の真奈。」
"真奈"と呼ばれた彼女さんは…軽く会釈をすると僕の顔なんてロクに見もせず隣りの佐古に視線を移す。
その露骨な態度に…鈍い僕もちょっと傷付いてしまったりする。
「雅史くんお久し振り。元気だった?」
ニッコリと微笑む彼女とは反対に僕のカレシは眉間にクッキリとシワを浮き上がらせて隼人クンを見た。
「で?…今日はなんの用なんだ?」
「あぁ…せっかくだからWデートとかどうかなーって思ってさ?どっか行かないか?」
「断る。」
即座に答えた佐古をあやしながら隼人クンが苦笑いをして、彼女さんは…"Wデート"という単語が出た瞬間から、僕を見る目付きが変わった。
僕は…怖くなって佐古の手をギュッと握り締めた。
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